子どもと上手く関われない指導員のパターン
放課後等デイサービスにおいて、お子さんと上手く関われない指導員のタイプは大きく2つにわかれます。
- お子さんの発達段階や心情を踏まえず、高圧的な態度で一方的な指示や注意を繰り返してしまう
- お子さんの言いなりになってしまい、プログラムへの参加を促せなかったり、問題行動をを止められない
これまでの経験では、1つ目の高圧的なタイプは比較的改善が見込みやすいです。こうした態度はあからさまにお子さんの反発を招くため、指導者からも管理者からも問題として認識されやすく、そういった意味では対策を施しやすいのです。
対応が難しいのは、むしろ2つめのお子さんの言いなりになってしまうケースです。なぜなら、お子さんは教室のルールを守ることを求める指導員よりも、自分が何をしても許してくれる指導員のそばにいることを好むからです。そのため、子どもの言いなりになる指導員はしばしば「自分は子どもから慕われている」と勘違いしてしまいます。こうなると簡単に改善はできません。
子どもに誤学習させてしまう指導員
お子さんの言いなりになる指導員は、表面的にはお子さんから慕われているように見えても、本当の意味での信頼は得られていません。その証拠に、このタイプの指導員は常にお子さんの暴力・暴言の対象になります。「この先生なら叩いても悪口言っても叱られないだろう」と思われているのです。実際その通りなので暴力や暴言を受けてもそれを止めることができません。
それを放っておくわけにも行かないので、やむなく他の指導員がその子の対応に入ることになります。1人の子に2人の指導員が関わることになるため、その分他の子へのケアが手薄になります。
このことからもわかるように、子どもの言いなりになる指導員の存在は、他の指導員も巻き込んで教室運営を困難にさせる上、何よりお子さんに「相手次第で暴言や暴力を振るっても構わない」と誤学習をさせてしまう点で極めて大きな問題であると言わざるを得ません。
しかし、こうした指導員に管理者が「子どもの言いなりになるな」と頭ごなしに指示しても納得し難く、かえって反発を招くことがあります。先に述べたように、指導員自身は「自分は子どもから慕われている」と思い込んでいることが多いため、こうした指示を「子どもに良かれと思ってやっていることを否定された」と受け止めてしまうからです。
こうした理由から、高圧的な態度の指導員に比べ、子どもの言いなりになる指導員のマネジメントはずっと難しいです。管理者として無理に指示を押し通そうとすれば、関係が壊れかねません。
施設の目的とルールを明示すること
この問題を本当に解決しようとすれば、一旦指導員のマネジメントという視点から離れ、より大きな視点で考える必要があります。つまり、施設の目的とルールを考えます。
- 私たちはお子さんに何を提供しようとしているのか
- それを提供するためにどんな仕組みを用意するのか
「お子さんの言いなりになる指導員」は、この二点が明らかになっていないときに生まれてきます。
言い換えれば、「お子さんの言いなりになる指導員」の問題は、施設としての目的を明確にできていない経営者の問題であり、その目的を実現する仕組みを構築できていない管理者の問題でもあります。
従って、「子どもの言いなりになる指導員」にお困りの経営者の方は、下記の点をチェックする必要があります。
- 施設の目的を文章化できていますか
- その目的は自分が雇用している人全てに浸透していますか。
- なにより、経営者であるあなた自身がその目的を心から追求していますか
また、目的を実現する仕組みを作る管理者は下記の点をチェックする必要があります。
- お子さんの来所から退所までの指導員の動きについて、文章化されていますか
- トラブルへの対応の原則について、文章化されていますか
- 問題行動を繰り返す特定のお子さんについて、指導員の間で対応方針は一本化されていますか
- 上記の内容を話し合うための、充分な研修やフィードバックの時間が取れていますか
上記のポイントをきちんと抑えていれば、経営者や管理者がお子さんの言いなりになる指導員」対して「私たちでこういう目的のもと、こういう仕組みでお子さんと関わっている。あなたもそのようにやっていただけないかと話ができます。
その結果、指導員がそれを受け入れてくれるにせよ、受け入れてくれないにせよ(この場合その指導員は施設を去ることになるでしょう)、お互いが納得の行く話し合いができ、具体的な化改善に繋がります。
以下、10月の講座のお知らせです。
10月9日(日) 「アナログゲーム療育講座 中高生~大人編」
就職を見据え、組織で働く上で求められる「状況にあわせた臨機応変なコミュニケーション能力」の獲得を目指す指導をお伝えします。
他者の考えや場の状況に積極的な関心を持ち、自分がどう動けばよいか主体的に判断することを学ぶために、アナログゲームは最適のツールです。職業訓練や企業研修の経験を踏まえた、実践的な講座です。
発達障害のある中高生の支援、成人の支職業訓練に関わる方だけでなく、発達障害と関係がなくと人事研修や採用に関わる方に参加いただきたい講座です。
10月10日(月・祝) 「アナログゲーム療育講座 学童編(再)」
9月11日の講座と同様の内容です。
小学校入学以降に身についてくる「客観的思考力」や「コミュニケーション能力」にアプローチする内容です。今まで教え方がハッキリしてこなかったこうした能力に、ピアジェの認知発達理論とアナログゲームを通じて、明確な定義と実践的な指導法を与える内容となっています。