療育で用いるアナログゲームを発達段階別に整理
アナログゲーム療育を実践されている方から「発達段階別に療育で使えるゲームのリストがほしい」というご要望をいただくことが多くなりました。
そこで、ピアジェの認知発達段階をベースに、アナログゲーム療育の対象となる2歳から12歳以降までの発達段階をステージ1~4までに分け、各ステージにおいて用いるゲームと主な療育課題を設定することにしました。具体的には以下のような形です。
- ステージ1 2~3歳 シンボル機能の形成
- ステージ2 3~7歳 シンボル同士の関係概念の形成
- ステージ3 7~12歳 脱中心化と客観的思考の形成/状況に合わせたコミュニケーションスキルの獲得
- ステージ4 12歳以降 相手や場に合わせた臨機応変な対応
本サイトでご紹介したゲームについては、全てステージ分けを行いました。右側メニューのステージごとの分類から、それぞれの段階にあわせたゲームを選んでいただけます。
今回はその最初の段階となるステージ1を解説しましょう。
ステージ1 シンボル機能の形成を促す
シンボルとは、ある具体的な事象を、別の事象で代表したものです。たとえば名前や数、あるいはゲームのルールなどがそれにあたります。
シンボル機能がお子さんの中に形成されてくるのが2歳前後。言葉の発生する時期と重なっています。シンボルの意味についてはこちらの記事でまとめてありますので御覧ください。
シンボルを理解し使いこなせるようになることは、後に続く概念的思考やコミュニケーションの前提となります。
知的障害・発達障害のあるお子さんの場合、このプロセスが遅れることがあり、療育を通じてシンボル機能の形成を促すことが課題となります。
動きや音などの刺激で興味を惹く
ステージ1のお子さんの場合まだシンボル機能が充分形成されていません。具体的には、言葉は出ているか出ていないかといったところ。ものに名前があることが理解できているかもどうかわからない段階。ましてや数やルールの理解はまだまだ先、といったところです。
この発達段階のお子さんの興味の中心は、色や音、動きといった感覚的な刺激です。
そのため、この時期のお子さんが興味があるのは、ラトルやクーゲルバーンのような、色・音・動きに訴えるおもちゃです。
最初に触れて欲しいゲーム 「はじめてのゲーム・フィッシング」
こうした子どもたちにちょっと背伸びしてもらって、感覚の世界からシンボルの世界に入ってきてほしい。そのためには、お子さんの感覚に訴え、シンボルの世界に引き込むようなゲームが望ましいのです。その代表が、ドイツHABA社の「はじめてのゲーム・フィッシング」です。
- サイコロを振り、出た目の色と同じ色の魚を、磁石のついた棒で釣る
- 釣った魚と同じ色の道具を選び、手持ちのパネルにはめ込む
- 一番早く全ての道具を揃えた人が勝ち
木でできた大ぶりの魚に、磁石がパチン!とつく感覚が、子どもたちの興味を誘います。
感覚で興味を惹き、シンボルの世界に誘う
ステージ1のお子さんにはこの「フィッシング」のような、おもちゃとゲームの中間のようなタイプが適しています。
魚に磁石がつく感覚を楽しんでもらうために、まずはルールにこだわらず、おもちゃとしてお子さんに自由に遊んでもらいましょう。
お子さんが磁石のついた釣り竿を使って魚を釣り上げることを楽しめるようなら、その次のステップとして、サイコロと同じ色の魚を釣ることを目指します。具体的には、サイコロと同じ魚の色を交互に指さしながら、教えていきます。
また「はじめてのゲーム・フィッシング」は魚を釣るだけのゲームだけではありません。
子どもたちの手元には穴の空いたパネルが配られ、釣った魚と同じ色がついたバケツやスコップ、じょうろなどの道具をもらい、そのパネルにはめることができます。
「魚を釣る」「道具をもらう」という二つのステップで、色のシンボルを学べるのが「はじめてのゲーム・フィッシング」の素晴らしいところです。2歳~のお子さんに初めて取り組んでいただくゲームとして最もオススメです。