これまで数多くの研修会を通じてアナログゲーム療育を紹介してきましたが、その時に気をつけていることがあります。
それは、「単なるゲームの紹介で終わらず、大人がどう関わるのかも説明する」ことです。
アナログゲームの良さは非常にたくさんのゲームが存在することです。色とりどり、大小様々なアナログゲームがあり、それらを実際にプレイするとそれぞれみな違う面白さがある。
そのビジュアルのインパクト、多様な面白さのインパクトは非常に強く、そこに「このゲームにはこんな教育的意義があるんですよ」との解説が一言加われば、アナログゲームを療育や教育に取り入れてみようと思わせるだけの充分な説得力を持たせることができます。
しかし、それだけでは単に「教材」を紹介しただけに過ぎません。そこに「大人がその教材を使って、子どもとどう関わるか」という視点がないと、単に紹介されたゲームを子どもの前に置きさえすれば療育なり教育なりになるのだ、という考えに陥ってしまいがちです。それでは教育・療育としてゲームの良さを充分引き出すことはできません。
アナログゲーム療育の活動を続けていく中で、ゲームを活発に活用している施設や学校がある一方、ゲームを買ったまま死蔵しているケースも少なからずみてきました。また稀ではありますが「とにかくこのゲームをやらせさえすれば教育になる」と思い込んでしまい、子どもの気持ちを無視してゲームをプレイするのを強制している場面も目にしました。
そうなってしまう理由は、その施設や学校にいる大人の方たちが「自分たちがゲームを使いこなしていくんだ」という意識を充分持てていないことが大きな理由です。
子どもたち、特に知的・発達障害のある子たちが意欲的にゲームに参加でき、その過程で発達していくためには、大人によるゲーム選びや環境設定、プレイ中の適切な介入がいることを改めて強調したいと思います。
YouTube「遊びと育ちチャンネル」では、個々のゲームを紹介しながら「育ちのポイント」として、そのゲームのなかで大人がどう介入していくのかを解説しています。
たくさんのゲームを大人の関わり方とセットで紹介していますので、この機会にぜひごらんになってみてください。