【事業所様向け】アナログゲーム療育体験会のご案内

アナログゲーム療育について

アナログゲーム療育の目標は、発達障害のある方に将来の就職を視野に据えた実践的なコミュニケーション能力を身につけてもらうことです。そのためには、継続的に療育を受けていただくことが大切になります。

そのため、放課後等デイサービスや就労移行支援施設など、発達障害のある方を日常的に療育・支援している施設において、カリキュラムの一環としてアナログゲーム療育を取り入れていただくことが最も効果的であると考えています。

そこで、首都圏で日常的に療育や就労支援を行なっている施設様を対象に、アナログゲーム療育を知っていただくため、初回にかぎり交通費のみのご負担で「体験会」を実施させていただきます(最寄り駅:JR青梅線青梅駅)。

定員は5名まで。時間は2時間~3時間程度です。対象は、精神障害・発達障害のある小学生~成人の方ですが、スタッフ様や保護者様の参加も可能です。

なお、アナログゲーム療育は単発のイベントとして実施した場合でも、楽しい時間を過ごしていただくとともにご本人のコミュニケーション上の課題を認識していただくきっかけになります。

日常的に療育を行なっていない支援団体様などで、単発のイベントお呼びいただく場合には、上と同じ条件であれば、1万円+交通費でお受けすることが可能です。

その他様々なご要望に柔軟に対応していきたいと思っておりますので、まずはtmwires@gmail.comまでご連絡ください。

体験会レポート

以下は、先日放課後等デイサービスで行なった体験会のレポートです。実施したゲームの解説のほか、参加者ごとの個別レポートを作成しました(有料オプション:一人あたり1000円)。アナログゲーム療育導入の参考になれば幸いです。

なお、実施時間は2時間半。参加者は発達障害のある高校2~3年生の男児4名でした。

実施したゲームの解説

①基礎的な認知能力をチェックする「イチゴリラ」

神経衰弱をベースとしたゲームです。

ルールの理解・短期記憶・衝動性・数概念の理解など、集団でゲームを遊ぶ際に必要となる基礎的な認知能力をチェックするために導入しました。

大きな問題なく遊ぶことができました。

 

②表情を読む「コヨーテ」

他のプレイヤーの札の数字をてがかりに、合計値を予測するゲームです。数字だけでなく、相手の表情の変化に注目することで、予測の精度があがります。

いずれのお子さんも、他プレイヤーの札を見て全体の数字を予測できていましたが、表情の変化に着目するまでに至りませんでした。回数を重ねれば表情に着目できるようになると思われます。

加えて、事後の振り返りでは複数のお子さんから「一番面白かった」との感想が聞かれたことから、今後教室での導入を特にオススメしたいゲームです。

 

③わかりやすく伝える「ヒットマンガ」

絵柄にあわせたセリフを自分で考えるカルタ形式のゲームです。

自由な発想力が問われますが、今回は苦手なお子さんが多く「難しい」といった声が聞かれました。それだけに、自分が頑張って考えたセリフで相手が札を取ってくれた時は、満面の笑顔を見せてくれるお子さんが多かったです。

詳しい解説:https://www.gameryouiku.com/2015/06/18/1「わかりやすく伝える」 ヒットマンガ/

 

④相手を理解する「かたろーぐ」

手元のカタログや図鑑をもとにランキングを作り、その順位を他に人に当ててもらうゲームです。

A君は鉄道駅、B君は電車、C君はガンダムと、それぞれの好きなテーマを選んでプレイしました。自分のことを相手に理解してもらう喜びを感じてもらい、相手のことを理解する意志を身につけてもらうことが目的です。

詳しい解説:https://www.gameryouiku.com/2015/07/15/相手を理解する 「かたろーぐ」/

販売先:すごろくや http://sgrk.blog53.fc2.com/?no=3186

お子さんの様子と、今後の指導に向けたアドバイス(希望者のみ)

A君 高校2年生

途中からの参加でしたが、混乱することなくスムーズに場に入ることが出来ました。ゲームのルールの理解には少し時間がかかりましたが、実際にプレイしていくうちに「あっそういうことか」と気付くことができていました。

絵柄に合わせたセリフを自分で考えるヒットマンガでは、「え~これ難しいよ~」と気弱な様子でしたが、何度かプレイしていくうち勝手がわかってきたようで、ゲーム後半では適切なセリフを考えだすことができていました。

複雑なルールの理解にはやや時間がかかるものの、一旦理解すればその後は安定して取り組めるのがA君の特徴だとおもいます。学校、そして将来の職場においては、周囲の人間が「できるだけ簡潔な指示を出す」「複雑な指示は文章で出す」などの配慮をすれば、最初から高いパフォーマンスを出せるでしょう。

コミュニケーション面の課題としては、やや大人しすぎるところがあり、他者への働きかけがもっと頻繁に出てきて欲しいところです。「人前で発表する」「わからないところを質問する」「交渉して良い条件を引き出す」などのスキルを練習し、成功体験を積む過程で、人と積極的に関わる自信を身につけてもらいたいとおもいます。

B君 高校2年生

途中参加の子に自発的にゲームのルールを教えてあげたり、「かたろーぐ」で「1位から順番に並べるんだよ」などと自ら解説役を買って出るなど、周囲の状況にあわせて積極的に動くことができていました。

こうした良さを本人が自覚するために、日々の指導の中で、講師に代わって課題の説明をしてもらったり、司会進行を務めてもらうなどして、成功体験を積む機会を積極的に作れるとよいでしょう。

他方で、一度説明したルールを忘れてしまったり、自分勝手な解釈で進めてしまう場面が何度かあり、ややおっちょこちょいな傾向が見られました。考えたことを行動に移す前に、一歩立ち止まって考える習慣をつけてほしいと思います。

一つ気になった点として、集中しているとき、猫背気味になり爪を噛むクセが見られます。面接等、人前に出る場面ではマイナスになってしまう要素です。面接練習の課題を設定し、その様子をビデオで撮影して本人に振り返らせることで、改善が期待できます。

C君 高校3年生

「ヒットマンガ」では、マニアックなアニメのセリフをつけてしまい、誰にもわかってもらえず「なんでお前たちアニメ見ないんだよ!」と怒って他罰的になってしまうことがありました。その後「かたろーぐ」で好きなガンダムのキャラでランキングを作り、他の子に自分の好みをあててもらえたことで、安心できたようです。

人に受け入れてもらいたいという気持ちが強くありながら、その気持ちを伝える手段が「怒りで他者を批判する」という誤った形になってしまう所に、社会的経験の乏しさが感じられます。

他方、コヨーテでは最初最下位になったものの「もう一度やりたい」と言って2回目のプレイでは優勝するなどガッツを見せました。また、怒ってしまったヒットマンガの後も「俺が怒ってること気にしてるの?」と講師に聞くなど、周りを気にしている様子も伺えました。

「うまくやりたい」という気持ちと、周囲を気にする気持ちがあるため、引き続き、ゲームやSSTを通じて他者と密接に関わる経験を積めれば、場に参加するための力を徐々に身につけていけると思われます。

その際、自由な想像力が求められる課題よりは、目的や行動が明確に構造化された課題のほうが、取り組みやすいと思われます。

 

 

研修会もご検討ください

なお、体験会を経て、アナログゲーム療育を導入されたいとお考えの施設様には、スタッフの方に向けた研修プランをご用意しています。 金額は15000円+交通費、半日の日程が基本となります。ただし、内容や時間に関しては、ご要望を伺いながら柔軟に対応いたします。 体験会のあとは、こちらもぜひご検討ください。

関連記事

  1. 合理的配慮の義務化で何が変わるのか

  2. 幼児期のアナログゲーム選びのポイント

  3. 発達障害向けの医療・療育機関の評判 「発達ナビ」のレビューを200本読んでみました

  4. 【放課後等デイサービス向け】スムーズかつ安全な療育の工夫

  5. 【2月】発達ナビ掲載記事のまとめ

  6. 【療育テクニック】お子さんの目線に注目する