Leafプログレスにてアナログゲーム療育を実践!
さる3月21日Leafプログレス所沢教室にて、アナログゲーム療育を実践させていただきました。
Leafプログレスは先日マザーズに上場した(株)LITALICOが運営する発達障害のあるお子さん向けの学習塾です。障害特性に応じた学習支援に加え、コミュニケーションや行動面のサポートにも力を入れておられます。
Leafさんの特徴の一つとして、教室内にカメラが設置されており、このカメラを通じて、保護者さんがモニタでレッスン中のお子さんの様子を見られるようになっています。
保護者さんにとっては大変有り難い仕組みだと思いますが、指導する側にとっては中々に緊張感があります(汗)。
障害特性以上に見えてきたものは・・・
今回はLeafに通う発達障害のある小学4年生から中学1年生までの7人のお子さんが参加され、2時間で5種類のゲームを遊びました。
セッションを通じて特に印象に残ったのは、お子さんの障害特性や認知特性よりも、「集団に参加することへの不安感」でした。
たとえば、促してもゲームに参加しようとしなかったり、わざと他の子の失敗を馬鹿にするような発言をして自分を強く見せようとする子がいました。
過去に学校などで集団参加に失敗した体験があると、未知の集団に参加するときお子さんの中に「失敗して恥ずかしい思いをするんじゃないか」「他の子に馬鹿にされるんじゃないか」という不安が生まれ、その結果、失敗したくないから集団に参加しない、馬鹿にされたくないから他の子を馬鹿にするといった、自己防衛の動きが出ます。
こんなときは、子どもたちの中に「自分はこの場に受け入れられているんだ」「失敗してもいいんだ」という安心感を作ってあげることが大切です。
そうした安心感ができて防衛が解けると、子どもたちはそれまでとはうってかわって、積極的に課題に取り組んだり、コミュニケーションを活発に試みたりするのです。
謎生物に名前をつける「ナンジャモンジャ」
子どもたちが集団の中で安心して遊べる。今回、そんな場作りに一役買ってくれたのが、「ナンジャモンジャ」というゲームでした。
ナンジャモンジャのカードには、なんとも説明のしがたい奇妙な生物のイラストが描かれています。このカードを一枚ずつめくり、ひとりずつ順番にその生物に自由に名前をつけていきます。
めくっていくうち、先ほど名前をつけた生物のカードが再び出てくる事があります。そのときに先ほどつけた名前を一番早く言えたプレイヤーが、それまでめくったカードを取ることができます。
全てのカードをめくり終えたとき一番たくさんのカードを取った人が勝ちです。
なんとも奇妙な「ナンジャモンジャ」の生物たち。
上の写真で、子どもたちがつけた名前は、左から「みどりん」「みどりモジャモジャ生物」「サンフランシスコ」「おばさん」。
カードをめくったとき、名前のついたカードだったら「みどりん!」「サンフランシスコ!」といった具合に、素早く名前を言うのです。
特に「みどりん」と「みどりモジャモジャ生物」がまぎらわしく、言い間違いが続出して、みんな大笑いでした。
こうやって、失敗をしたことも含めてみんなで笑い合いながら遊ぶことができると、当初参加しなかった子も自然に輪の中に入ってきました。馬鹿にするようなことを言っていた子も、そうした発言がなくなって代わりに笑顔がでてきました。
このナンジャモンジャがきっかけになって、それ以降のゲームが大きく盛り上がり、子どもたちの熱気でこの季節なのに教室に冷房を入れなくてはならないくらいでした。
一番難しかったゲームは・・・
さて、ゲームが終了した後、子どもたちに「今日何のゲームが一番難しかった?」と聞くと、一番もりあがったはずの「ナンジャモンジャ」でした。
「ナンジャモンジャ」はとてもシンプルなゲームですが、実は「自由に名前をつける」という創作的な要素を含むコミュニケーションは、発達障害の中でも特にASDのあるお子さんには難しいことがあるのです。
笑顔で盛り上がっていた子どもたちでしたが、一人ひとりは必死で名前を考えていたんですね。でも、そうやって一生懸命考えた名前で、みんな楽しく盛り上がれたわけですから、きっと集団で過ごす自信もついたのではないかと思います。
親御さんたちの反応は・・・
後に教室長さんに伺ったことですが、こうした子どもたちの様子を、親御さんたちはカメラを通じて、笑顔で見ておられたとのこと。
終了後の私から親御さんへのフィードバックの時間では、「自宅でもやらせたいけれど、これらのゲームはどこで売っているのでしょうか」「普段の遊びではかんしゃくを起してしまって困っているんですが・・・」など、活発な質問をいただき、非常に高い関心を持っていただけたようです。
今回のLeafさんでの実践を通じて、発達障害のあるお子さんの場合、コミュニケーション能力の育成もさることながら、それ以前に「安心して他の子と楽しく遊べた」という経験が繰り返し出来る場を用意してあげることが大切であることを、改めて実感しました。
こうした場が増えるよう、今後ますます活動のフィールドを拡げていきたいと思っています。